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ヨコハマアートサイトラウンジvol.37
紙芝居から見えてくるもの

アートサイトラウンジvol.37「紙芝居から見えてくるもの」

開催日時|
2023年2月15日(水)

ゲスト|
片岡直子(紙芝居文化推進協議会理事・手づくり紙芝居コンクール実行委員長)
刈田均 (横浜市歴史博物館 副館長 主任学芸員)
鈴江夏(横浜市港北図書館 司書)

進行/小川智紀

片岡直子(紙芝居文化推進協議会理事・手づくり紙芝居コンクール実行委員長)
横浜市生まれ、同市在住。中学校の社会科教員を退職後、手づくり紙芝居に出会いとりこになる。2003年から「かみしばい・いっぽ」を立ち上げ、小学校などで実演のボランティア。コンクールを目標に創作を続けるうちに、いつのまにか実行委員長に。出版作品は『おどりばダンスホール』(雲母書房)、『石になったいも』(埼玉福祉会)など。ほかに『この海を田に-吉田新田のはなし-』など横浜にまつわる手作り紙芝居の複製が横浜市図書館に所蔵されている。横浜市内外で、紙芝居づくりの講座や公演も行っている。
刈田均 (横浜市歴史博物館 副館長 主任学芸員)
1989年から民俗担当の学芸員として横浜市歴史博物館の開設準備に携わる。主に生活や民具をテーマとした展覧会を担当。鷲塚隆さんから寄贈いただいた街頭紙芝居をきっかけに、2010年には企画展「大紙芝居展」を開催して街頭紙芝居の調査や普及啓発を図る。現在、「街頭紙芝居デビュー講座」の受講生OBの協力を得て「おもしろいぞ!紙芝居」を毎月最終土曜日に開催し、街頭紙芝居(複製)の継承を試みている。
鈴江夏(横浜市港北図書館 司書)
1989年、横浜市入庁。横浜市中図書館、都筑図書館準備室ほかの中央図書館企画運営課を経て、現在は港北図書館に勤務。同館では自主企画事業、貸出担当など。日本図書館協会児童青少年委員会委員。2020年、中央図書館企画運営課にて子どもたちが来館しなくても楽しめるものを届ける企画として市内の紙芝居グループが制作、上演した昔話の紙芝居動画をインターネット等で公開した。

 

 昭和期から大衆文化として多くの人に親しまれ、宗教、国策の普及、教育にも利用・活用されてきた「紙芝居」の歴史やその魅力についてゲストのみなさんにご紹介いただき、文化を守ることの大切さについて考える時間となりました。

 片岡さんは紙芝居の誕生から現在に至るまでの歴史を描いた紙芝居作品「手から手へ紙芝居」をこの日のために制作し、上演しました。また、自身が実行委員長を務める「手作り紙芝居コンクール」についても紹介。ユニークなアイディアが詰まった作品から対面の迫力が伝わってきました。

 刈田さんは横浜市歴史博物館での取り組みと、調査研究の中で学んだ街頭紙芝居を中心とする紙芝居の歴史について紹介しました。紙芝居の前進となる紙人形「立ち絵」や、隆盛期となる昭和の街頭紙芝居の商売の仕組みについて語りました。また、横浜市の有形民族文化財に指定されている街頭紙芝居「まぼろし探偵長」(複製)を実演し、客席からは「懐かしい」という声もあがりました。

 鈴江さんは勤務していた当時に中央図書館企画運営課で取り組んだ「横浜の紙芝居」動画のことや、港北区生涯学級における港北図書館の過去の取り組み、そして図書館で所蔵している紙芝居に関する本について紹介しました。持参した本の内容は街頭紙芝居、子ども向け紙芝居、高齢者向け紙芝居、手作り紙芝居と多岐にわたり、イベント終了後も参加者が書名をメモする様子がみられました。また港北区生涯学級で生まれた紙芝居グループ「たまてばこ」メンバーの松井栄里さんによる「善教寺坂のホーキぎつね」の上演もされました。

 ディスカッションではこれからの紙芝居について考える時間となりました。特に紙芝居文化をどのように次の世代に引き継いでいくかが課題としてあげられました。また、博物館と地域の連携や、図書館の読書活動の取り組みが持つ可能性についても議論されました。

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