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ヨコハマアートサイトラウンジvol.36
自分が見ている世界から ~インターナショナルユースとアート~

アートサイトラウンジvol.36「自分が見ている世界から ~インターナショナルユースとアート~」

開催日時|
2023年1月14日(土)

ゲスト|
大藪順子(フォトジャーナリスト)
望月実音子(EduArt)
川添ビイラル(映画監督)

進行/小川智紀

大藪順子(フォトジャーナリスト)
アメリカの新聞社を経てフリーとなり、日米各地で写真展を行う。Picture This Japanでは社会的に声の小さい人々にカメラを持たせ、彼らの世界を内側から可視化するプロジェクトのディレクターを務め、2021年には写真集「横浜(Koko)」(明石書店)を出版。著書に『STAND:立ち上がる選択』(フォレストブックス、2007)、共著に『マスコミ・セクハラ白書』(文藝春秋、2020)
望月実音子(EduArt)
2016年の立ち上げから6年間、LITTLE ARTISTS LEAGUE の共同代表として親の文化とは異なる環境で育つ子どものためのアート活動に関わる。2022年春に設立した「EduArt(エデュアート)」では代表を務め、アートを通して世界について考えるプログラムを学校など横浜の各地で展開している。

川添ビイラル(映画監督)
どこにでも居るハーフの日々の生活を通しアイデンティティーや日本社会に対する複雑な気持ちを描いた映画『WHOLE』(2019)にて監督を務める。脚本・主演は実弟の川添ウスマン。本作は第14回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTS Awardスペシャル・メンションを受賞し、JAPAN CUTSおよびソウル国際映画祭で正式出品された。

 

「外国につながる」と同時にそれだけではない背景を持つ若者たちが、「自分が社会を見る目線」を表現するということに焦点をあて、ゲストのみなさんのお話を伺いました。

 大藪さんは「横浜インターナショナルユースフォトプロジェクト」での実践を報告しました。このワークショップでは写真を撮るだけでなく、自分が何を表現したのか語りながら考えます。被写体になりがちな彼/彼女らがカメラを持ち自分自身に向き合うこと、そのことで定義づけのないありのままの姿が立ち上がるといいます。その中で自分とは何かを考え、相手に伝えることがプロジェクトの肝となっていると大藪さんは語りました。

 望月さんは2021年まで横浜のサードカルチャーキッズを対象にアートワークショップをしてきましたが、社会にはマジョリティの意識改革も必要だと考え、2022年春にアート教育団体Eduart(エデュアート)を立ち上げました。現在、公立小学校にアートプログラムを届ける活動を行っています。SDGsの項目から子どもたち自身が関心のあるテーマをアートで表現する「SDGsquares」での事例を紹介し、その豊かな感性から見える可能性を語りました。

 川添さんはミックスルーツの2人の青年を見つめた監督作の映画『WHOLE』について語りました。自身と弟のウスマンさんの実体験、そしてリサーチによってリアルな表現を目指したといいます。作品を上映する中で「ルーツだけでなくありのままの自分と接してほしい」と願う登場人物への共感の声を多く得て、作品が届いたことを喜ばしく思うと同時に、知られざるマイノリティの存在がいかに多いか思い知らされたと
語りました。

 ディスカッションでは「自分とは何か」を問う機会が日本社会の中で得られているのかという問題や、他者の目線に縛られずに自分に向き合うことの難しさや大切さが話し合われました。また、話はアートの可能性だけでなく、制度の問題についても及びました。

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